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奄美が「世界の宝」になった日

2021年7月26日午後6時半過ぎ。
奄美に新しい歴史が刻まれました。

「奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島」の世界自然遺産登録。

奄美が「世界の宝」になった日

島の8割を山間部が占め
人間よりもはるかに多くの動植物が生息し
ここにしかいない生き物も数多く、
国土のわずか0.2%の島に、国内の13%もの生物が生きる
まさに【生命ざわめく島】

奄美が「世界の宝」になった日

生き物だけではなく
この生命力あふれる島の自然と見事に共生をし、
多様な生態系に負けない
多様多彩な文化と自然と共にある豊かな暮らしを紡いできた島の先人たち

すべてを誇りに思います

奄美が「世界の宝」になった日

世界の宝となった、奄美の自然

ここから始まることも、変わっていくことも変わらないことも
すべてに寄り添い、奄美の豊かさをつないでいきたいと思います。


奄美が「世界の宝」になった日


❖世界自然遺産登録って?

1972年に採択された「世界遺産条約」に基づいて、国連教育科学文化機関(UNESCO)の「世界遺産リスト」に記載された遺産のこと。
国家や民族を超えて人類が共有し、次世代に受け継いでいくべき価値をもつ遺産を対象としています。

世界自然遺産として登録されるための4つの価値基準(クライテリア)のうち、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が当てはまったのは、以下の基準です。

「生物多様性」…絶滅のおそれがある野生生物の生息地など、生物多様性の保全にとってもっとも重要な生物の生息・生育する地域。

多様な生物がともに生きる宝の森。
それが奄美大島・徳之島の世界に誇る自然です。



❖奄美が自然遺産に登録されるまでの道のり

国内で、「世界自然遺産登録候補地」として奄美群島の名前があがったのは2003年のこと。
しかしこのときは、自然遺産登録において必須条件となる「国立公園化」もされていない状況であったため、UNESCOへの推薦は見送られ、さきに「北海道知床」や「小笠原諸島」が推薦され、自然遺産登録されました。

国はその間準備をすすめ、奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島の4島を関連性ある特異な生態系の連なりという観点で推薦地として取りまとめ、2017年、UNESCOへ推薦。翌月には、奄美群島に国立公園が誕生しました。


しかし、世界自然遺産登録に向けた諮問機関IUCNは、「登録延期が適当」とする勧告を発表。
沖縄米軍基地が登録エリア内に入っていないこと、自然を十分に保護する体制がとれていないことなど複数の課題が突き付けられました。

「推薦されれば登録されるだろう」という楽観的な見方が覆され、落胆の声が多くあがった当時を思い出します。

しかし、同時に「登録に向けての準備が足りていなかった。準備期間をもらえた」と歓迎する声も。
日頃島の自然に接している観光ガイドの方々や、団体・自治体の関係者からそういった声が多くあがったことも印象的でした。

足りない準備はきっと数多くあったのだと思います。
そして登録見送りは、同時に「本当に自然遺産になっていいのか。登録されたらどうなるのか」という根本的な問題に改めて向き合うために必要な契機となったように思います。

さまざまな取り組み・準備が進み、「登録後」へのビジョンも話し合われました。

そして、2019年。政府は推薦書を再提出。翌年2020年に、UNESCOによる審議の年となるはずが、新型コロナウイルスの影響で世界自然遺産委員会は1年見送りに。

翌2021年5月。IUCNは「登録が適切」という勧告を発表。事実上、奄美の世界自然遺産登録が決定づけられた瞬間でした。

そして7月26日。奄美大島・徳之島は、沖縄島と西表島とともに世界の宝となりました。

最初に「候補地」として名前があがってから、約20年かかった道のり。
それまでに奄美を取り巻く環境も、世界情勢も随分と変化がありました。
きっとこれからもどんどんと変わっていく人間社会と隣り合わせにあっても、島の自然は変わらずに守っていく。
それが世界自然遺産となったこの島に対して、していかなければいけないことだと思います。


❖世界自然遺産の島を守るために

奄美が「世界の宝」になった日

貴重な自然と人々の暮らしとがすぐ近くにあり、共生してきた文化もまた、奄美の魅力のひとつ。
しかし、多様な動植物によって形作られている生態系は、これまでにはなかった環境負荷が加えられることによって簡単に壊れてしまう危険性もはらんでいます。
奄美の自然を楽しんでいただくための観光ルールづくりも、まだ追いついていない部分も多くあります。
けしてむやみに自然の中に入り込むことをせず、共生してきた島人の暮らしも守りながら観光を心がけていただけたら幸いです。

奄美が「世界の宝」になった日

①夜の山道はのろのろ運転で
アマミノクロウサギなど希少動物の多くは夜行性。街灯のない夜の山道で、いま希少動物の交通事故が多く発生しています。
山道に入ったらスピードを落とし、動物に注意して運行をお願いします。


②金作原はガイド同伴で散策を
奄美市名瀬の金作原は、奄美の自然を体感できる散策地として人気です。エコツアーガイド同伴が義務付けられていますのでご注意ください。

③ナイトツアーもガイド同伴で
夜の山に入り動物を探索するナイトツアーも、ガイド同伴が推奨されています。
経験豊富なガイドの解説があるとなしとでは、理解度も面白さも雲泥の差。ぜひガイドをご利用ください。

④動植物を持ち出さない、持ち込まない
法律や条例で動植物の持ち込み・持ち出しは禁止されています。


❖世界自然遺産に関連したリンク

世界自然遺産登録について知る

 環境省
 鹿児島県
 国立公園奄美群島

奄美の野生動植物や保護について知る
 奄美大島自然保護協議会
 奄美野生生物保護センター

自然遺産と観光について知る

 あまみ大島観光物産連盟
 奄美大島エコツアーガイド協議会

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