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【ジョブセンバかわら版10月号】なんこつと母と娘の物語-くまもと弁当
ジョブセンバかわら版10,11月号の巻頭は、働く人たちのための「お弁当特集」。
奄美大島の名瀬を中心にしーま編集部とシマの大工さんで選んだお弁当屋と、
心と体に染みる弁当ストーリーを紹介しています。
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お弁当特集のため情報収集と実食に余念がなかった編集部に、ある日とびきりの情報が舞い込んだ。
奄美市役所T氏「おいしい弁当はないかって? 住用のなんこつ弁当が有名だよね。わざわざ遠くから買いに行く人もいるみたいよ~」
なんと! 知らなかった!
さっそく車を走らせ、うわさの弁当をゲット。たっぷり入ったなんこつは骨まで柔らかくとろけるよう。加えてその味付けの妙。力任せのくどさが一切なく、しみわたる旨味に染まって、ペロリと食べられてしまう。うわさに違わず、うまい。いったいどんな人が作っているんだろう? 取材に訪れると、そこにはなんこつ弁当をめぐる思いもよらない母と娘の物語があった。
くまもと弁当は平成6年に住用町見里集落で始まった。現在お店を切り盛りする喜元美也子さんのお母さんが作ったなんこつ弁当は当初から評判で、連日訪れる常連や遠方からの客でにぎわった。 作り方、味付けはすべて母だけの秘密。長年いっしょに働くスタッフにも教えないほど、大切にしていたという。
けれど、そんな母があるとき美也子さんを呼び、なんこつの炊き方を伝授したのだ。それは母が亡くなる数週間前の事だった。 「でも、味付けの分量は1~2度教わった程度。結局自分で試行錯誤です」と笑う美也子さん。悩みながらも店を継いだが、「母の味にかなわない」と苦しんだことも。周囲に助けられ、母の味の再現に奮闘してきた。 店を継いでから今年で5年。毎朝4時に家を出て、6時には弁当を並べる。2日ごとに炊くなんこつの量は実に10キロ。けして楽な仕事ではない。 それでも変わらず何十年も通ってくれる常連さんや、はるばる遠方から訪れるお客さんと接しているのが、ストレス発散でもあり、喜びなのだという。
「母の味にはまだまだ。いまだに父からは味が違う、と怒られますし(笑)」。 母から美也子さんへ受け継がれ、作り上げた秘伝のレシピ。 むろん、その味付は今も美也子さんだけの秘密だ。
500えん
※なんこつ弁当は10時半ごろからの販売です。日曜定休。
住所:奄美市住用町見里334-1
電話番号:0997-69-5326
母と娘のストーリーがぎゅっと詰まったお弁当。みなさんもぜひ食べてみてくださいね。